カモメ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのカモメのレビュー・感想・評価

5.0
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、公開初日の最初の時間に行ってきました。会社休んで。朝11時スタートの時間からで、映画館出たのが15時くらい。他の予告とかなんだかんだで4時間拘束されました。

大ファンってわけじゃないですが、それでも注目せざる得ない今回のラインアップ。

『タクシードライバー』や『グッドフェローズ』デニーロと『ウルフオブウォールストリート』や『ディパーテッド』のディカプリオと、そのいずれも監督してるスコセッシのトリオ映画なんて、控えめに言って、滅多にないですからね、これは見るべしですよ。

スコセッシの新旧相棒のデニーロとディカプリオ。この二人が共演して、しかもガッツリ演技合戦してます。これはディカプリオが少年俳優だった頃の『ボーイズライフ』以来のデニーロとの共演じゃないですかね(違ったら教えてくだい!)。

その重厚感たるや、テレビ画面じゃ受け止めてきれんでしょうね。

オープニングあたりの石油が降ってくるシーンの美しさで一気に引き込まれてしまいました。その後の展開は、ラーメンで例えると、ラーメン二郎と家系ラーメンの吉村家を一度に食べたような満足度です。

映像良し。

演技良し。

シナリオ良し。

ごく控えめに言って最高の映画体験でした。


退屈さなしの3時間半

スコセッシ、たまに退屈なんですよ。とても好きな映画ですが『アイリッシュマン』少し眠くなるパートがあるんですけど、今回の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は全くなかったです。約3時間半は長いけど、全然退屈しないかったです。

レオの人生ベストアクトのひとつ

そこには、やはりディカプリオの「華」のある演技が大きいと思います。中年になりかつてよ美青年ラインでの演技アプローチは捨ててるとはいえ、隠しても隠しきれない滲み出る「華」はさすがです。その存在感はアラフィフのレオからも『タイタニック』の片鱗を感じます(キャラ造形は『タイタニック』のジャックと全然違いますよ)。今回のディカプリオのキャラクターは、歴代でもかなり好きなディカプリオですね。人間的な弱さが、一般市民&中年男性の俺の心に、ビシビシ響いてきます。絶対中年男性は共感する部分あると思う。人間の愚かさや弱さを演じるディカプリオは彼の俳優人生でのベストアクトのひとつになると思います。



帰ってきた俺たちのデニーロ

一方のデニーロ。俺たちのデニーロが帰ってきました。俺は、こういうデニーロを見たかった。俺の期待するデニーロです。想像の中の老いた理想のデニーロが今回のデニーロです。それだけ言えばデニーロ好きならわかってくれるでしょう! デニーロが笑顔で喋るたびにドキドキします。ただ笑顔で喋ってるだけなのに、あれだけの緊張感を視聴者に与えることができる俳優ってどれだけいるんですかね。最近のデニーロはコメディとかハートウォーミング系とか出てますが、そんなデニーロに飽き飽きしてる人こそ、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を見てほしいです。



80歳スコセッシ老いてますます盛ん

そして、この怪人二人をきっちり画面に収めるスコセッシ御大。何歳ですか? 80歳? パワフルですね。俺の親父は80歳で死にましたが、スコセッシはその歳で、劇薬のような映画を取り続けるなんて、すげえ人ですね。ひとつだって作れないですよ、そこそこ一流の監督でも。

前述しましたが、オープニングあたりの石油が降るシーンの美しさで、一気に物語に入り込めました。ディカプリオとデニーロは充分怪人ですけど、実はスコセッシが一番の大怪獣なのかもしれませんね。願わくば次はニューヨークを舞台にした映画を作ってほしいです。



もう一回言いますが、ディカプリオとデニーロとスコセッシです。こんなの見れるなんて最高のご褒美だと思いますので、少しでも「見たいかも」って思ってたら、絶対見た方が良いですよ。言うまでもないことでしょうが、そしてもう一度言いますが、テレビでは受け止めきれない濃厚な映像体験だと思うので映画観がおすすめです。
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