YLxx

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのYLxxのレビュー・感想・評価

4.5
フィルモグラフィにおいて最高傑作と言われても異論がないような作品を80歳にして撮ったスコセッシに脱帽。

「無能力者」「いつ帰ってくるの」
冷徹なデニーロのバイオレンスと無知なディカプリオのバイオレンスが美しい人々を恐怖へ誘う。

いつどこの時代でも富を築いた成金には悪が忍び寄る。それはカイル一家を乗っ取ろうとしたキング一派だけではなく、司法省からGメンの名を挙げる為来たトムホワイトも同じである。

驚くのはアーネストを無能力者として見る白人というフリがあるものの、このキャストで撮った中で最も恐怖を覚えたシーンが弁護士役のブレンダンフレイザーの台詞であるということ。オセージ族は殺されただけではなく、アメリカという大国に管理抑圧されたことがフィジカルな暴力よりも目線や言葉による精神的虐待に重きを置き描かれていることにより語られる。

本作は実に滑稽で愚かで醜い白人のアーネストからの視点で描かれ、そこには彼の無能さから来る無念のようにも描かれ。白人のスコセッシが撮ったことにより正当な白人が支配するハリウッド作品へ仕上がってしまったようにもどうしても思えてしまう。ラストのラジオ演出には一本取られたがインディアンが撮らなければ成立しない部分は必ずあると感じた。

インスリン注射にエロを感じた
ディカプリオの言動には終始苦笑い
尿意耐久戦やる価値大いにあります。
アイリッシュマンにハマらなかったスコセッシファンにこそ勧めたい