Parry

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのParryのレビュー・感想・評価

4.6
今年ベスト.パターナリズムを徹底的に考察した映画.
特定の民族を「最も素晴らしい人々」と言いながら富には不相応だと親が子を支配するように全てを奪い取るマジョリティ.日本社会でも見覚えがある構図.
自分の考えも持たず服従するだけの男を演じたディカプリオが見事.

“良い白人”も一切出ない白人加害者が斬新で面白い.ただオーセージ族が石油で富を築く過程,モリーがなぜ主人公に惹かれたかが描写されない.不満を持つ先住民の方がいるのも納得.オーセージ族,FBI視点と最低でもあと2つは映画が作られるべき題材.先住民の監督がスコセッシと同じ予算で撮った作品が観たい.

流石に長いし,映画館でなければ絶対途中で辞めているけど明らかに無駄なシーンもない.
冒頭の石油の中で踊る半裸のオーセージ族の若者,主人公とおじのハグの長回しのショットなど、画面作りも演出もキレキレ.
「聖地には蜘蛛が巣を張る」の兄弟のような映画.
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