kaorui

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのkaoruiのレビュー・感想・評価

4.5
僕的にはスコセッシの最高傑作!
沈黙でも同じことを言ってた気もするが^^;
とにかく濃密で幸福な3時間半だった。
デカプリオ、そしてデニーロの外連味たっぷりのアクトが堪能できる。何言ってるかわからないけれど二人のセリフの口跡を聞いているだけでニヤニヤが止まらない。英語にも言霊が宿るのかもしれない。
巻頭、デカプリオが居留地を訪れるシーンで、地平線まで広がる油田の風景、そして街中の雑踏で繰り広げられる自動車レースに血が躍った。何とダイナミック!なんという躍動感!
中盤からはどっしりと腰を据えたピカレスクドラマが繰り広げられる。スコセッシ組の中で何千回重ねたことであろうカットバックは練られた構図、間合い、色彩設計、照明含めて熟練の境地で、見惚れてしまう。
そして終盤、物語が泥濘みにはまり込んだところにアメリカの良心を体現するジェシー・プレモンスの登場で法廷劇へと雪崩れ込んでいく展開も見事。

敬愛するロビーロバートソンの音楽が深いところで刻むように爪弾くように空気を震わせるのだが、ホワイトでもブラックでもない、赤いモホークのブルースをスライドギターで奏でる。これはもう映画の神、音楽の神が彼の最後の仕事をこの作品に誘ったに違いない。

アメリカの忘れられた底の見えない暗闇を職人達の枯淡の技で編み上げる本作品に浸るこの上なく贅沢なひとときを是非劇場で!
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