Kaz66

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのKaz66のレビュー・感想・評価

3.9
んー、スコセッシ監督作品“らしい”映画でした。
(206分、ポップ&コークの摂取も相まって、やはり僕の膀胱は持たず…途中5分退席しました)

1921年オクラホマ州フェアファックスで現実に起きた(でもその後意図的に忘れ去られていた)「オセージ族連続怪死事件」を題材にした歴史小説?デイヴィッド・グラン著「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」の映画化権を取得し、スコセッシ監督に6度目のコラボを持ちかけたL・ディカプリオ。
そして、旧来のスコセッシ映画の常連:R・デ・ニーロの二人で悪役(白人)を演じ、オセージ族の主演には同じネイティブ・アメリカンの血を引くリリー・グラッドストーンを配役。その他の出演者にもオセージ族及びインディアンの他部族の俳優を配した徹底ぶり。
そして音楽はスコセッシの旧友、故ロビー・ロバートソン(彼もインディアンの血を引いてる)、ロケは出来るだけ現地(オクラホマ)にセットを組み、コンサルタントにオセージ族長老を迎え、デザインや美術にはオセージ族コミュニティとの全面協力で“リアル”を追求しているそう…。
筋としては、
石油利権により世界一裕福な部族となったオセージ族、その利権を略奪しようと周到に網を張る白人たち。その怪事件はFBI誕生の発端となった…。というもの。
歴史上の事件や実在した人物を題材に、推理小説の視点を組み込み第一級のミステリーに仕立てる作風のD・グラン著作は次々と映画化され(ロスト・シティZ/さらば愛しきアウトロー/本作)、この後も「ワガー号 難破・暴動と殺人の物語」(これもスコセッシ/ディカプリオが取得)、「ザ・ホワイト・ダークネス」もリミテッドTVシリーズ化されるそう…。安全に売れっ子です。
そんな原作にはない部分…、同時期に隣町のタルサで起きた白人による黒人大虐殺(ウォッチメンでも取り上げられた)、1900年中国の排外運動「義和団事件」などを映画として記録として(無かった事にならぬよう)刻み残すことにスコセッシ監督のライフワーク感が伺えるし、最終幕のラジオショーのシーンに唐突と監督自らが出てきて事の端末を語るところに、D・グラン氏の原作・第三部と同様に“自らの視点”として語るスコセッシ監督の『覚悟』が見られた気がしました。
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