西木寸

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの西木寸のレビュー・感想・評価

4.2
傑作!

206分の超長尺も、劇映画として歴史を彫刻しつつ、多面性のある人間の愚かさを映す、濃度の高い物語。
敬意と差別、支援と搾取、愛と略奪...
平気で両立する二面性が秀逸で、その出し入れにより、混沌から黒へ、破綻せずに全貌が浮かび上がる。

血塗られた陰謀と栄枯盛衰を、加害視点から、圧倒的濃度を持って描くのは、これぞスコセッシ節。
同じ二面性を、方やアメリカ的傲慢さとして、方や殆ど無自覚なモノとして、全く違った形で描くのが面白い。
特にディカプリオの何れも嘘ではない人物造形が凄い

インディアンを管理する時代背景なんかは、多少なりとも予習しておかないと、飛び交う言葉やシーンに「?」が浮かぶ。
登場人物も多く、飛び飛びで出てくる為、繋がりに「?」が浮かぶ。
それでも全体像は把握でき、かつ引き込まれていく、パワーに満ちてる。
西木寸

西木寸