西木寸さんの映画レビュー・感想・評価

西木寸

西木寸

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ライド・オン(2023年製作の映画)

4.2

途轍もなく好きだ、、
ジャッキー演じるのは、馬と暮らす第一線から落ちたスタントマン。
娘↔︎馬との関係が対となり、スタントマンの本能に抗いながら、不器用に贖罪と失敗を繰り返す様子に寄り添いうと同時に、
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貴公子(2023年製作の映画)

3.6

うむ。貴公子の不気味で魅力的なキャラクターと、それを活かしたラストの捲り方は抜群。
面白い部分は感じつつ、中盤の鈍重かつ安っぽい展開に乗れず。悪役側のキャラクターとバイオレンスも、表面上だけ誇張された
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.6

うーむ。マシュー•ヴォーン最新作。
エッジの効いた世界観...の範疇を超えた捻り過ぎた設定。特に前半はその設定を咀嚼する為の描写の連続に見えて、快楽性に欠け非常に残念。
紐解けていく後半にかけて面白く
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.6

傑作!!ベスト級。
夫(父)が死んだ。法廷を通して見えてくる「断片的な景色」。グレーに保ったまま「推測」を誘発変化させる展開と、夫婦間の「断片的な景色」が元に起こる関係性に居心地の悪さを感じつつ、
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

面白い!滅茶苦茶だ!
母へのしがらみから精神不安定な中年男が、帰省する中での災難&災難を3時間堪能。
やべぇ奴らや、不可解な出来事ばかりだが、なにせ信頼ならぬ主観が物語のベースだから、どこまでが現実で
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

面白い。
強気に安売り主導するヘッジファンドvs価値を信じ株を買う個人投資家達。
今売れば一人逃げできるが...snsで繋がった個々が団結したからこそ起こった、システムに対するカウンターパンチ。スリル
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.2

傑作!
不十分な愛情、居場所のない日常。そんな日々しか知らぬ少女が戸惑いながら、叔父母の愛に触れ、初めて居場所を見出していく。
訳あり叔父母が、同情と幻影の愛から、真のソレを見出してくる様子も重なり、
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.9

面白い!!!
僅かに台詞に白々しさはあるが、このレベルで実写に落とし込まれると文句のつけようがない。
映像的見応えを加筆しながら、一連の流れで、血生臭さとオフビートを、リアリティラインを崩さず見せ切る
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アイズ・オン・ユー(2023年製作の映画)

3.7


70年代連続殺人の実話を元にしたnetflixスリラー。

女性から見て表面化してる男性性の気持ち悪さ、恐怖を画面越しに追体験させられる中、表面化してない仮面の奥に真の狂気があったりもするから尚更厄
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憐れみの3章(2024年製作の映画)

3.9

面白い!

社会、夫婦、宗教、、、
3つの支配構造の中で、ある種の変化をきっかけに起こる悲劇&喜劇をオムニバス形式で描く。

共感不能な物語なのに、描かれる人間や支配構造の精神性は否定できない。
否定
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Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.7

面白い!面白い?

転売人としての直接的影響だけでなく、態度言動からくる"無自覚"な何か。その積み重ねが、大きな地獄と化して本人に帰ってくる。

視聴者視点でも、周囲の動機が曖昧で、その曖昧さが不気味
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ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ(2024年製作の映画)

4.4

傑作!素晴らしきクオリティ。三作目にして完成系。

殺し屋世界にリアルな緩さが融合し過ぎてファンタジーとなるバランスで、本作でとうとう行き着いた先は日本版『ジョンウィック』。

"ペア"が強調されてて
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.2

傑作!映画史のマスターピースとなった前作FRのフュリオサ視点での前日譚。

現代と前作を繋ぐ前日譚故に、前作以上の世界観の突き抜け方は出来なかったり、物語を普通にストーリーで描く必要があったり、前作の
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

傑作!
「黒人の物語」が偏り形骸化され、それ自体が差別的になっている現状を茶化す。
嫌気をさす黒人作家が、皮肉る為に誇張的な黒人の物語を描くと、ヒットして戸惑う構図が面白い。
この映画自体もそういう映
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ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.8

面白い!
リゾート島での西部劇。見せかけの綺麗な街並み、隠された理不尽な支配構造、バカっぽいキャラ造形、物語の痛快さ、皆好きよね、俺も好きだよ!!
ただ、ハードボイルドに入りから、次第に抜けて行くのが
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.3

傑作!!
12年刻みで動く男女の恋愛。最も運命的でドラマ的ではあるんだけど、人生を共にする運命ではない。

当人同士がそれを認識して、何ともいえない距離感で時間が流れていく最終幕が本当に素晴らしい。そ
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ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

3.5

この映画のワンシチュエーションのワクワク感は嫌いではない。

ただシナリオが...違和感が想像を膨らませ、この映画の仕掛けでどう回収されるかな?という期待感で見続けるが、大きな違和感で消化される。それ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

傑作!
原爆を作り、大量虐殺を起こし、兵器開発競争を生み出す。

開発トップのオッペンハイマー目線で描かれながらも、「彼自身の自己矛盾の物語」と「失脚に繋がる、共産主義思想とスパイ疑惑サスペンス」を超
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シティーハンター(2024年製作の映画)

4.2

傑作!面白!カッコ良!

原作未見も、現代の東京に融合させた原作のエッセンスだろう要素がビシバシ感じられる。
安っぽさは微塵も感じさせない切れ味に、エッセンスを取り込みながらのリアリティラインの作り方
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

傑作!!
フランケンシュタインであり、無茶苦茶に歪だが、美しく、力強く、芯を食ったフェミニズム映画。

頭脳は子供だが身体が大人...そこで生まれる性の倒錯を臆さず全面に出し、男社会に晒され特異的な曲
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.9

amazon primeオリジナル。

面白い!!
大学に馴染めない凡庸な学生と、周りに人の絶えない上流階級の学生。
育ちの違う二人の歪な青春映画が、おもしろ階級格差スリラーへと変容していく。

取り
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.9

面白い!イコライザーのマッコールさんの現実解。
考え得る限りの計算高く、優秀な殺し屋。一人語りのナレーションが彼の視点を覗き、そこにも隙がない。
ただし完璧でも、不測の事態が起こる。シリアス(を装う)
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クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

3.6

キャラクター的にデフォルメされた人間造形と、そこに寄与する会話のセンスで、魅力的な交流描写を作る。
人物の愛おしさで言えば100億点。
だがしかし!軸になるのか、引き立てなのか、サスペンスの立ち位置と
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テトリス(2023年製作の映画)

4.3

傑作!
崩壊前夜のソ連で生まれたテトリス。その版権を巡る命懸けの駆け引きを描く。
物語自体をゲームに例える構成や、ゲーム風な映像を交えるテンポ感と、スリリングな場面描写のバランスが絶妙で、素晴らしきア
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

傑作!!
寡黙なトイレ清掃員の繰り返しの日々、その受動的日々の中にも、木漏れ日の如く変化があり、着目すると多種多様な豊かさを含む。
最短で仕事への手際、姿勢、人となりが実在感持って伝わるのは見事だし、
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.9

面白いし、泣いたが、歪!
前半の超絶逆境からのボーイミーツガールは、後半への動機のみに寄与して、物語のベクトルは予想だにしない方に向いていく。疑いたくなる前半の必要性も、役者陣の演技が魅力的で、うやむ
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.2

傑作!

206分の超長尺も、劇映画として歴史を彫刻しつつ、多面性のある人間の愚かさを映す、濃度の高い物語。
敬意と差別、支援と搾取、愛と略奪...
平気で両立する二面性が秀逸で、その出し入れにより、
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.9

面白い!
モータースポーツと映画の本質的相性の良さに加え、ゲーム的な見え方を、音、メカニカル、肉弾戦など迫力あるレースの中に落とし込む映像の作り方も抜群。
ただ、史実のレースを組み替えた展開が、本来巨
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

3.7

面白いけど、敵サイドが都合良く、こちら側に着くのが、バックボーンを薄くして苦手

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.2

傑作!死を悟った肥満症の男が、過去に捨てた娘を救う事で、過ちから救われようとする...
人は過ちと愚かさを抱えて生きている。時には自他の人生を狂わせ、「救い」を求める。
密室での濃度の高い会話劇により
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