ずっと気になっていたけどこれまで見ることが叶わなかったペマ・ツェテンの作品(それもこれもフィルメックスで上映されたっきり劇場公開とか全くされないせいなのだけど)、今回の新作でようやく見ることができたが、これはなんとも不思議な感触の映画だった。
砂煙が舞う荒野の様子とか絵画みたいな室内の映像とかは素直に良いと思える反面、幻想的な感じが悪くなかったもののパンチに欠ける展開のせいもあり消化不良感は否めなかった。
白黒で若干歪んだ過去の描写とかパフォーマンスみたいなラストとかも良かったといえば良かったのだけれど、これまたもう少し強烈な何かが欲しかったところ。(例えばハネケ的なえげつなさとかウェス・アンダーソン的な間抜けさとかそういう個性的な印象)
でもインパクトがそこまでではないとはいえ、やはり絵画的映像センスは素晴らしく賞賛すべきものがあったから、この監督の他の作品も見てみたいという気持ちが消えることはなかった。