ペイン

スリー・フロム・ヘルのペインのレビュー・感想・評価

スリー・フロム・ヘル(2019年製作の映画)
4.3
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のタランティーノとはまた一線を画すロブ・ゾンビ流の濃い~味付けのマンソン愛、映画愛。

前作にして大傑作『デビルズ・リジェクト』のような映画としての圧倒的な高みというのとはまた違うが、昨年公開作でいうところのジム・ジャームッシュ『デッド・ドント・ダイ』のような身内感、ホーム感を堪能出来る至極の1本。

モーテルの親父役を『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のリチャード・エドソンがやっていたり、ナレーションが『ロッキー・ホラー・ショー』の人だったり、女看守役は『E.T.』のお母さん役の人だったり…キャスティングにも粋な計らいがあるうえに、『女体拷問人 グレタ』や『アクエリアス』といった往年のB級ホラーから、やがては映画黎明期のジョルジュ・メリエス等にまで言及がなされており、ロブ・ゾンビの古い映画好きっぷりを物語っている。

前半は『悪魔のいけにえ』的な殺戮を繰り返す展開(ピエロ🤡のあるくだりとか超悪質)だが、後半はメキシコを舞台に西部劇的展開を見せたり、色彩豊かな“死者の日”の祭り描写(ここがまた伸びやかで凄く良い)や、小人の描写等、ロブ・ゾンビ自身もフェイバリットに挙げているホドロフスキーの『エル・トポ』や、セルジオ・レオーネの『ドル箱三部作』テイストになっている。

暴力と殺人とセックスの反復がこれでもかと全編を輝かせている怪作。エンドロールは涙した。
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