Foufou

スリー・フロム・ヘルのFoufouのレビュー・感想・評価

スリー・フロム・ヘル(2019年製作の映画)
2.0
ロブ・ゾンビ監督作品。生真面目な監督、という印象です。メタル系の人って、根は堅物で冗談が通じないって偏見がわたくしにはちょっぴりございます。オジーは違うと思いたい。(ビートルズのカバー歌ったりするのは、ちょっと……)。

ホラーとユーモアって、裏で手を繋いでるところありますでしょう。でもこの人の作品にはユーモアのかけらもありません。だからずっと中道をいく感じ。人物のキャラクター造形に現れています。稀代の殺人鬼たちのはずが、異常とか猟奇的とかいう感じがまったくしない。暴力に至る衝動が全然描けていないんですね。ただ面倒だから殺すってだけ。てか、三人のうち二人は老いすぎている。引退がちらついてます(笑)。

気を吐くのは妹ひとりですが(この人に2点)、この人にしても、野放しにしたらヤバい感、全然足りないです。殺しがヤンキーの悪ふざけみたいになってて、美学がないもんね。相手の苦しむ様を見て絶頂するとか、そういう類ね。

観ていて退屈。腹を裂かれて内臓がぼたぼたっと地面に落ちる。で、それを引きずりながら逃げるとか、腕が切り落とされる、脚がもがれる、首が飛ぶなんての、一切なし。

生真面目な監督だから、作り自体はとても丁寧。70年代の映画の技法を律儀に踏襲したり。ロブ・ゾンビはひょっとすると優等生タイプなのかもしれない。ちゃんと予習してきたことが、授業で活かされている。

でもそのせいで疾走感が奪われている。逃避行なのに。それでも最後の最後で爆発するんじゃないかと期待しましたが、あんな腹の出たold man にマチェーテの決闘やらすなんて、どだい無理でしょうが。あらあらあらあらとなりました。案の定、映画は最後に姑息な手を使う。どっちらけ。センスなさすぎ。

絶体絶命のピンチをどう乗り切るかは、監督の腕の見せどころでしょう。それまでになんの伏線も張ってないんだもんなぁ……。あんなに尺取ってるのに。

ヒーローだろうがヴィランだろうが、無敵な奴を見せてほしい。もちろん、設定だけで満足する観客はいない。無敵ぶりの演出あってこそです。

それにね、メキシカンマフィアが弱すぎるって。冷酷無比じゃないと。先触れとして棺桶を三つ村に運び入れるシーンがあるんだけど、これをゾッとするシーンとして撮らないんだもんなぁ。それに、ほんまモンの彼らなら、簡単に死なせてはくれないでしょう。拷問ありき。

牛二頭連れてくるとかね。なんでかな? と思わせておいて、それが拷問のための八つ裂きの道具であることを匂わせるとかね。あるいは朝飯と言って持って来られたクローシュの蓋を開けると腐敗した生首だったとか。そうやってメキシカン側もただモンじゃないというのを見せてからの、血で血を洗うガチ勝負に臨んでほしかった。

タランティーノには遠く及びません。
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