劇場公開時鑑賞しましたがCSにて再鑑賞再レビュー。
「エスクァイア」誌に掲載された記事を基に、アメリカの子供向け長寿番組の名物司会者と雑誌記者の交流を描いたドラマ。
「エルヴィス」でトム・ハンクスの本当に憎たらしい“大佐”役の“怪演”を観て思い出したのが、今作での“フレッド・ロジャース”役の“怪演”。
どんな相手でも分け隔てなく接し、穏やかな、まさに“聖人”とでも言うべき人柄のMr.ロジャース。だが元々の彼の性格は短気であり、その穏やかさは訓練の賜物だと語られる。そんな“ヒーロー”を演じた今作でのトムは、目の奥が決して笑っていない。1番わかりやすくて象徴的だったのがラストのピアノを弾くシーンだったけど、今回改めて見直してみても、あらゆるシーンでやっぱり目の奥は笑っていない。それでもコチラの心にメチャクチャ響く素敵な言葉をドンドン紡いでくるのだから、コレぞ“怪演”と言わずして何と言えよう。
愛と赦しを描いた素敵な物語。「Mister Rogers' Neighborhood」の番組を使った入れ子構造で、主人公の雑誌記者が自身のトラウマと向き合い“赦す”ことになっていく、そのプロットが上手い。そしてあの“1分間”のシーン。劇場鑑賞当時も今回も、あの時間は劇中の人達と一緒に自分自身の事を思い浮かべ涙が溢れてしまった。
