くろきつ

ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー​のくろきつのレビュー・感想・評価

3.7
急逝した無名の画家の遺作を巡りアート業界の業界人たちに降り掛かる不可解な出来事の数々を描いたサスペンスホラー。

「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ監督が商業主義への痛烈な批判を交えて描くアート業界を舞台としたホラー作品。前作でもタッグを組んだジェイク・ギレンホールとレネ・ルッソをはじめ、ジョン・マルコヴィッチやトニ・コレットなどの豪華俳優陣が出演する今作。アート業界を舞台としているだけあってモダンな映像が印象的。しかしその映像に映し出されているのは往年の低予算スプラッターを彷彿とさせる死に様の数々。お洒落なアートサスペンスかと思いきや突然低予算ホラーへと変貌を遂げてしまう。トニ・コレットの手が無くなったりレネ・ルッソがタトゥーで死んだりとシュールにも程があるだろといった感じだった。今作の犠牲者となるのは皆アートを金稼ぎに考えていたものたち。反対に生き残ったのはそれとは真逆の考えを持ったものたち。そのようなところから監督が商業主義に対しての批判を描きたいことが分かる。砂浜のキャンパスに線を描いていくジョン・マルコヴィッチの姿が印象的。アート業界の嫌なところを描いた映画だった。
くろきつ

くろきつ