「みのり」という役名でヒロインと同化する萩原みのりの圧倒的な魅力はあまり映画で目にしないタイプのもので、強いて言えば「プロミシングヤングウーマン」を先取りしていたとも言える芯の強さ(交際を断ったら「ヤリマンかよ」と吐き捨てた男に対しての追い込みは観ていてとても気持ち良い)と、自分も含め全員が「くだらなさ」を抱えて生きているということに気づいてしまっているからこその「誰にも何にも期待をしない」諦めのスタンス。そんな彼女がナンパ男に向かって(カメラは段々とナンパ男を見切れさせ萩原みのりの正面からのクローズアップになっていく)「許してもらえますか？」と呟くラストショットは「他者への尊重」を覚え始める微かな希望のこもった名台詞であり、とても感動。
他者の見た目を値踏みすることでしか続かない友人同士の無益な会話がより最後の一言の重みを持たせる。
また萩原みのりがこの映画で唯一泣きながら「美味い飯食って糞してたまにセックスして、それだけでなんて自分は恵まれてるんだと」「そういうこと考えると全てがくだらなくなる」と親友に語りかけるところも素晴らしい。
