どなべ

A Question of Silence(英題)のどなべのレビュー・感想・評価

A Question of Silence(英題)(1982年製作の映画)
2.0
男嫌いの女性3人が大した理由もなく男を殺し、精神鑑定士(?)が話を聞く中で女性が抱える男性への慢性的・普遍的な不満を暴いてゆくという話

喫茶店で働く女性は普段から男性客のセクハラに耐えていたり、女性秘書がいなくなると男だけでは仕事が回らなくなったというエピソードが挿入されていたり、あまりにもわかりやすいもんだから逆にフェミニストへの皮肉かと思った

まあこういうエピソードを一つの映画にいくつも集めるとわざとらしさが満点だが、一つ一つは女性にとって日常的ということなんだと思う

ところで抑えきれなくなった不満が爆発する瞬間としての革命は往々にして社会法規を超えてしまうことがあるが、どういう種類の不満が抑えられなければならない社会かは時代と場所によると思う

ある時代のフランスでの貧困は抑えなければならない(耐えなければならない)不満だったので社会法規を超える権利があった(超えてしまった、というべきかは教養不足なので知らない)ため革命が起きたが、現代社会で貧困は口に出したり政府に訴えてはいけない不満ではない
それと同じように、日常的に表面化する性差別を女性が訴えてはいけない時代は終わりつつあると思うので、この映画に登場する3人の女性はすでに役目を終えていると思う

ちなみに初代プレステのノベルゲーみたいな音楽とやっつけテレビドラマみたいなカメラワークも揃ってこの映画は全てが古臭いので、現代でこの映画を必要としてるのはいよいよインドかサウジアラビアくらいじゃないですかね
どなべ

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