スポック

インソムニアのスポックのレビュー・感想・評価

インソムニア(2002年製作の映画)
5.0
正しい結果や正義のためなら原理原則や法令を曲げてでも実行する。
良い結果や正義を守るよりも原理原則と法令遵守が最優先である。
往々にして成果を上げた歴史上の人物は原理原則や法令を横に置いてでも大勢の利益や正義を優先してきた。

先が読めそうな普通っぽい脚本をノーラン監督の独特の演出で、個性の強い俳優陣達のそれぞれの解釈と演技プランに任せてわざとらしい作り物のようなバランス取りを避けたリアルな演出が素晴らしかった。
実社会でにおいても一人一人が同じような熱量でよく似たバランスのリアクションで生活している事はあり得ないのでその自然な演出にハラハラした。
登場人物達にわざとらしいキャラの深みを持たせずに淡白に淡々と進行していくのもリアリティーがあってドキドキした。
勧善懲悪や揺れ動く葛藤を分かりやすくするための大袈裟な表現を避けたノーラン監督のさりげない演出に、この後に立て続けに独特なノーランワールドの傑作を産む特異な才能が感じられた。