力作である。
本作は、ドキュメンタリーとドラマの境界を繊細に描きつつ、2017年の#MeToo運動が注目された時代に制作された、男性の男性性の葛藤を深く掘り下げた重要な作品です。男たちは自尊心が高すぎるという作中の言葉が、誇り高くも脆弱さを併せ持つ作中の馬の描き方と共鳴する哀感を帯びた作品。
映像美も特筆すべきポイントで、情報量を抑えたラフで寄りぎみのショットと、崇高な草原の広がりを捉えたショットが組み合わさり、瞑想的で心に染み入る体験をもたらします。荒々しさと静謐さが共存する映像表現は、登場人物の内面世界を観る者に鮮烈に伝える力を持っています。