回想シーンでご飯3杯いける

ザ・ライダーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
3.3
馬が出てくる映画には良作が多い。人間と密接な関係を持つ動物でありながら台詞を持たない。故に彼等が考えている事は、僕達の想像に委ねられる。冷静に見れば、馬は特に演技をしていないのだろうけど、例えば「乗り手を信頼するような優しい目」という風に見えるのは、製作陣の腕による部分が大きいのだろう。

本作は、ロデオでの落雷で頭蓋骨に重傷を負った青年の再起を描いた作品。男に生まれたからにはロデオに一生を懸けるのは当たり前といったサウスダコタ州の古風な風土を背景に、一方で同じくロデオでの事故で全身麻痺の重傷を負った親友との交流を挟み、励まされる側と、励ます側の双方の立場から主人公の人物像が浮き彫りにしていく。牧歌的な風景と馬の躍動感溢れる動きを追う映像の美しさも特筆ものだ。

鑑賞後に知ったのだが、ストーリーは実話ベースで、登場人物の多くが本人であるとの事。主人公の演技力(?)は素晴らしいが、この手法そのものについては、実話をワイドショー的な美談として消費する最たるパターンであり、正直あまり好きではない。ちなみに日本未公開作品。