ギャング映画のときとは違う二枚目然としたジェームズ・キャグニーの若さ全開の演技を見れるだけで楽しいし、時折軽妙なダンスをさらりとわざとらしくなく披露する姿も最高。ただ後半の「上海帰りのリル」パートで暗黒街を彷徨う姿が様になっているのがギャングスター・キャグニーらしい。
前半はトーキー映画に負けないためショウビジネスの事業を成功させようとする主人公のドラマがそれなりに描かれるが、後半ミュージカルパートが膨らむにつれてやはりどうでもよくなってくる。ラストのオチは粋ではあるが、大舞踏のあとに急に思い出したようにやってくるのでやや唐突に。
ミュージカルはどれも華やかで戦後のミュージカルとは違う趣があるが、特に後半のプールを使ってのダンスシーンは天上にいるような夢見心地がありうっとりする。
あと地味な眼鏡女性が眼鏡を取ると凄い美人になるというフラグはこのときからあったのね。