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サムライマラソンのhonestakiのレビュー・感想・評価

サムライマラソン(2019年製作の映画)
4.1
原作未読。

心身鍛錬のため藩主から十五里の遠足を命じられた侍。
高低差1000mの群馬の山道を58kmも走らないといけないなんて、お気の毒である。(実際には徒歩だった様子)
上士より先に関所を通れないとか、一等賞を取るために回り道しちゃうとか、なかなか笑える要素が満載なのですが。
コメディタッチで軽く観られるかと思いきや、中々悲壮感の強い重厚な音楽とリアルに噴き出す血液。
とても真面目な外国人監督です。

藩主に向けて放たれた刺客が話のメインになっているため、遠足の距離感が分かりにくい事が惜しい。
先頭と後尾の差がほとんどなく、序盤から息切れ切れの様はあまり見たくなかった。

どおおおおぉぉぉぉおおおおお!!!!!

って駆け抜ける雄牛の集団を期待したのよw
一等賞をかけた侍同士の駆け引きをもっと見たかった。

絶対にズルをしなさそうな、誰よりも気が強そうで筋肉隆々の森山未来が鈍いカゴを担がせているし、
プライドと生活のどちらを取るか染谷将太の葛藤が描かれず終い。
五〇歳を過ぎて一旗揚げたい竹中直人の意地を見たかった。
なんかこう、大満足まであと一歩届かない感じがもどかしい。

現代と江戸時代の走り方は異なっている点が面白い。
刀が邪魔にならないように腰を落として両手を腰にあて、上半身を揺らさないように日本舞踊のような形で走る。
感情や行動を乱さない隠密の佐藤健が冷静さを表すようにその走法を貫く。

ツツツツツツツツツツツツツツツーーーーーーー

とまるで台車で引っ張られているかのように林を駆け抜ける姿がとてもキレイでカッコ良かったです。
って、実際に走っているシーンがとても少ないのだけれど。

最後に不意打ちのように日本歴代のマラソン選手が出たのはちょっと感動した。
さて、二里ばかり行ってきますかのー
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