シンプル・ノワール風に身分差の恋。物語的な展開の緩やかさと素直さに対して、お決まりの歌唱シーンが加わり冗長さが増している。シルエット鎮座ボス、むかし医者額帯鏡、病弱妹のクラシカルな魅力。オープニングクレジットのトランプ手元ショット。

アマプラにて
グルダット初、どころか、近年のインド映画も全然観てないと思うので本当に初

なんと開幕いきなり、キム・ギヨン『下女』のあやとり、増村保造『爛』のマージャンに並ぶ、トランプの手元クローズアップ長回しタイトルバック、かっこいい

この類の元祖、類例を他に知っている方は教えてください

が、アマプラの、おそらく英語字幕をそのまま機械翻訳に突っ込んで生成したトンデモ日本語というのもありつつ、ダレて流し観と化してしまった

音声もセリフ以外の間がバッサリ無音になったり、変な欠落の仕方をしている

とても完成度の高いプログラム・ピクチャーです。
ハリウッド映画の『ギルダ』に雰囲気が似ていますが、つくりはもうちょっときちっとしていますね。

ノワールとルネ・クレマンの文芸ものを足して二で割って話をしっかり作ってラストは若干前向きにという感じでしょうか。

ヒンディー語映画随一の二枚目スター、デーヴ・アーナンドが主演していて、配役も結構贅沢。

５０年代のヒンディー語映画は今のボリウッド映画と似ていて、長さも長過ぎないし、ドラマ性もエンタメ性も確保してある普通の映画という感じがします。伝統的なものと西欧的なものの混ぜ方の度合いも似た感じでどちらにも偏らないといういいバランス。

ヒロインは主人公が働いている酒場の歌手の女性と恋人の医師の二人。医師って言うのは学歴が必要な割にはカーストに関わらず誰でもなれる仕事なのでしょうか、ヒンディー語映画だと酒場の用心棒とか流しの歌手の恋人が女医さんだったりします。

歌手役の女優さんの演技とプレイバックシンガーの女性の声がとても良かったのが印象的でした。

2009年に日本語字幕付きの特集上映で劇場で鑑賞しました。

（グル・ダットの初監督作 2014/1/29記）