ハレルヤ

国家が破産する日のハレルヤのレビュー・感想・評価

国家が破産する日(2018年製作の映画)
3.6
一気に大きな経済成長を遂げた1997年の韓国。しかしその裏側では着実に通貨危機が忍び寄っていて、気づいた時には既に国家破産は目の前。国の通貨政策チームや一般国民など前代未聞の経済危機に翻弄される人々の様子を描いた実話ドラマ。

通貨危機という普段の生活からはあまり馴染みがないテーマですが、それは一般の生活においても深く直結している事を思い知らされる内容に仕上がっています。

本作は主に3つの視点から一連の出来事を捉えた形。1つ目は国家の危機に直面し、何とか被害を最小限に食い止めようとする国の通貨政策チーム。2つ目は通貨危機を察知し、この状況を逆に利用して大儲けを企てるやり手の男性。3つ目は中小企業の経営者。通貨危機の煽りを食らい、経営難に陥る。三者三様の模様が描かれ、異なる見方が出来ます。

意地でも国民に危機の訪れを公表しようとしない国の上層部。手遅れになる前に公表すべきと対峙する女性チーム長のシヒョン。やがて国内は大混乱に陥り、企業の倒産や自殺者も増加。悲惨な状態へと真っ逆さま。

そしてIMFへの泣きつき。そこで支援の見返りに韓国経済へと大きなメスを入れようとするIMF側。黙認しようとする国側にその条件は飲めないと真っ向から立ち向かうシヒョン。

そのシヒョンを演じたキム・ヘスの冷静を取り繕いながら、国内外の敵に毅然と立ち向かう姿は深く印象に残りました。特にIMFの専務理事役のヴァンサン・カッセルとの英語での交渉の場面はかなりの見応え。

ろくな対策も取らず、国民を見捨ててるも同然の状態で流れるままの国の上層部。中でも女性蔑視発言したり、何でも自分たち中心で異論は認めないあの次官の放漫な態度は見てて本気でイライラしましたね。

これ見ていると日本も対岸の火事ではなく、むしろ似たような実態だと思います。このような危機の舵を取れるとは到底思えません。当時の韓国の実態と悲痛な現実を突きつけた良作という印象を受けました。
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