国家が破産する日の作品情報・感想・評価

上映館(7館)

「国家が破産する日」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

かなりよかった。
国家ってこうやって隠蔽してるんだな〜と。今の日本も一緒だね。
IMFとは国際機関を装ってるけどただの世界規模のヤクザ。
それが日本に将来的にさらなる消費増税を迫ってるのって、どんな理屈なんだか。信頼するに値しない。
最後の、工場社長の人が変わってる様がなんとも言えない。資本主義における搾取の行末は、みなああなのだろう。更なる安い労働力を求め、末端が末端をいじめる。
どうやったらこの世界から抜け出せるだろう?
ワンコ

ワンコの感想・評価

4.5
繰り返される歴史に向けて
韓国の現在の外貨準備は約4000億ドルに達し、この映画の当時の35億ドルと比べたら雲泥の差だし、IMFからの緊急融資の200億ドルも遥かに凌ぐ水準となった。
そういう意味では、IMFの管理下に入ったことは、正解だったのだろう。
しかし、確かに、金利は倍に跳ね上がり、倒産が相次ぎ、失業者は溢れ、生き残ったのは財閥を中心とした大企業で、現在でも韓国の若者の失業率は高く、IMFの入れたメスの深手は今も残っている。

ただ、もう一つの選択肢として提示されていたモラトリアムは有効だっただろうか。もしかしたら、モラトリアム後の韓国は、多くの国に相手にされず、自由な経済活動を許されるような世界の寛容さを失ってしまっていたのかもしれないのだ。

実は、類似した通貨の売り浴びせは、90年代の初めにもあった。ジョージ・ソロスのポンド売りだ。
歴史は繰り返すというが、人は学んでいるようで学んでいなかった。
そして、このタイ発のアジア金融危機は、アジアを席巻し、ロシア危機やブラジル危機も誘発、当時世界最大と言われたLTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)の破綻まで続くことになる。
日本では複数の大手金融機関が破綻、国有化された時期と重なるので、当時の激変を覚えている人も多いと思う。
しかし、またもや人は学ばず、リーマンショックに代表される100年に一度と言われる世界的金融危機に見舞われ、更に、人は学ぶことはなく、ユーロ圏南欧周辺国を中心とした欧州危機も迎える。

今、各国の中央銀行は緩和的な金融政策を実施すると同時に、G20財務相・中銀総裁会合などを通じ、緊密に連携を取り、景気後退の芽を摘み、経済危機を未然に防ごうとしている。
だが、世界は、ボーダレスな巨大ネット企業の登場、少子高齢化、ポピュリズムの台頭、相入れない環境問題の議論、従来の市場資本主義に依らない国家経営を目指す中国、ロシア、アラブ諸国、そして米中を中心とした貿易摩擦など、多くの不安定要因を抱え、船頭のいない船のようだ。

冒頭で、IMFの介入は結果的に正解だったようには書いたが、果たして、巨大化した現在の世界経済にあって、IMFや世界銀行などが救済できる国などあるだろうか。
多くの発展途上国は経済発展で外貨準備は豊富で、個別に危機対応が可能になったことも事実だ。しかし、バブルは、たとえ大きくなくてもあちこちで生まれてハジけていることも事実だ。

国家の危機を煽るのに特定の事象だけを対象にして市民の目を本来の危機から背け、自らの放漫を隠蔽したり、トランスペアレンシーが重要視されるなかで開示を拒んだり、先進国であっても日本にも、この時の韓国のような体質は残ったままだ。
だからこそ、こうした危機を再び招くことのないよう、政治家や官僚は、常に判断材料を国民に十分に提示し、客観的な分析を加えて、判断を仰がなくてはならないのだ。
それが民主主義だからだ。
僕は、当時の韓国を考えると、IMFの管理下に置かれることも、モラトリアムをチョイスして世界の村八分になることも、いずれにしてもいばらの道だったに違いないと思う。
だからこそ、どれを選ぶかは国民が決めるべきだなのだと強く思う
☆ 1997年に起きた通貨危機を基に描いた社会派エンタメ

☆ 政府、銀行、工場経営者それぞれの物語をサスペンス映画に仕上げてあり見応えのある作品

☆ 貧富の格差がすごい~(まるで今の日本を見ているかのよう)

☆ 日本も起こりうる!?と考えてしまうと不安になるが…終わるのが早く感じる傑作映画🎞
ラウぺ

ラウぺの感想・評価

3.4
1997年の韓国の通貨危機に際して対策に奔走する韓国銀行の通貨政策チーム長、危機に乗じて一山当てようとする金融コンサルタント、百貨店の大口注文を手形決済したことで苦境に陥る食器工場の社長を主人公とする群像劇。

映画の最初で外貨準備高が急速に減少し、国家が債務超過により破綻するまで7日しかない、という事実に政府高官が愕然とする場面が出てきますが、財政政策に明るくない人にはちょっと難解と感じるのではないかと思います。それでも最小限のセリフでそれぞれの用語について簡潔な説明が入るので、字幕をしっかり追うことが出来れば、映画の内容から脱落するようなことはありません。
尺の都合もあると思いますが、未曽有の国家的危機に対し、主役をシンボリックな3人に絞ることで物語を整理し、分かりやすくすることに貢献していると思いました。

冒頭には「事実に即しているがフィクションとして再構成した」とのキャプションがつきますが、問題となるのはそのフィクションのサジ加減なのではないかと思います。
韓国銀行のチーム長は徹底的に正義の人として描かれており、事実を公表して国民に危機に備えさせるべきだ、と主張するのですが、財政局の次官に反対され、事実の公表はされないことになります。
これ以降この二人はことごとく対立する関係として描かれ、件の次官は徹底的に悪役としてのポジションとなります。
事態が更に深刻化し、IMFから資金調達もやむなし、となったときに韓国銀行のチーム長はIMFの介入は韓国の財政政策の自由を侵害し、外国資本の導入や規制緩和などで、弱小企業の倒産や非正規雇用の採用で失業者が増加する、などの理由で反対の立場をとり、IMFの介入を排し、政府によるモラトリアムを宣言することで回避しようとします。
映画はIMFの介入よりもモラトリアムをすべき、との明確な立場(=主張)で物語のヤマ場を迎えるのですが、映画内で提供される情報のみでモラトリアムの方が政策判断として正しいのか見極めることは殆ど不可能といってよく(財政政策に明るい人、若しくは専門家なら明確な答えが出るものなのか?)、映画で出される結論に果たしてどのように対峙してよいのか、なんとも煮え切らないものが残るのでした。

そのことはともかく、全編に流れる主人公たちの不正義への抵抗や役人のあるべき姿への姿勢などへの強烈なメッセージは伝わるものがありました。
政治への不信と財閥や大企業への偏った政策によって苦しむのは常に市井の人々であり、政治のありようとしてそうした人々を守ることこそがいかに大切か、というテーマは描かれた時代や場所を超越した普遍的なテーマであることは間違いないと思います。
そうした意味でも、やはり1997年の通貨危機について、定見と呼べるものがないと主人公たちの正義への想いはどこか不確かなものとなってしまうきらいがあると言わざるを得ないのです。
いっそのこと、過去の事実を下敷きとするのではなくて、近未来の起こり得る経済危機を題材として、より明確に良し悪しの判断が可能な材料を提供した方が、作品としてすっきり共感できたのではないか、と思うのでした。
mura

muraの感想・評価

4.0
日本では韓国の「反日」感情ばかりに注目するけれども、映画で描かれる社会を見るかぎり、実は「反米」感情の方が強いんじゃないかと。加えて「反政府」感情も強い。この作品に限らず、韓国社会が抱えてきた苦悩を映画が教えてくれる。

1997年の通貨危機を題材とした政治・経済サスペンス。現実味を帯びてきた国家「破産」の危機に対し、情報を公開して国民への影響を最小に抑えようとする者たちと情報を秘匿して政権への影響を最小に抑えようとする者たちの対立を描く…

見ていて暗澹とした気持ちになった。税金無駄遣い、借金返済先送り、信用失墜、情報秘匿、大企業優遇、非正規雇用拡大、中小企業倒産、失業者増大、そして自殺蔓延って、まるでどこかの国の現在および未来を見るようで。

「宴は終わった」…日本も再び「宴」に入りこんでいるんじゃないかと。この映画を見て、不安が増した。他山の石としなければと。

それにしても、韓国映画の政治・社会批判のまなざしは相変わらず鋭い。映画人の「気概」のようなものを強く感じる。…ってことで、次はポン・ジュノか。期待大きい『パラサイト』。
Momoka

Momokaの感想・評価

3.8
キャリアウーマンばりかっこいい!国の中枢なんてこんなもんなんだろうなあ 権力の泥沼も、その中で必死に何か変えようとしてる人の偉大さも知れる
KaiSaito

KaiSaitoの感想・評価

4.3
とんでもないもんを観ちまった…。
フィクションなのにフィクションじゃないという不思議な感覚。
まさか自分が生まれた年にこんなことがあったとは…。

1997年、韓国が経済破綻した。
2020年、日本が経済破綻…

…なんてことを考えずにはいられず、現実を突きつけられた。

韓国の闇を映し出しているのはもちろん、どこか他人事では済まない要素もかなり孕んでいて、この作品は日本に生きる人たちにも観て欲しい。

作品自体のテンポも、構成も、キャラ設定も秀逸で、ひとつの映画としても楽しめた。

でも、単に1本の映画である以上に、現代の社会にも一石を投じる素晴らしい作品。映画の担うべき役割をしっかり全うしている。最近話題の「パラサイト」と併せて観るべき。
jam

jamの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

金融事情にほんとうに疎いので
ましてや自国のことではない、韓国なら尚更
…恐る恐る、鑑賞


1997年の韓国の通貨危機
その7日前からの物語

韓国銀行、通貨政策チーム長 ハン・シヒョン
先を読むことに長けた金融コンサルタント、ユン・ジョンハク
経済には今ひとつ疎い町工場経営者、ガプス

この3人を追うことによって、それぞれの視点から描かれているものの
やはり、ハンチーム長に肩入れして観てしまう

IMF(国際通貨基金)介入をめぐる議論中
ヒートアップした彼女にかけられた言葉が

ハンチーム長 感情的なんだな 
女性の官僚が少ない理由
女は感情的になるから


大手百貨店から大量受注の喜びも束の間
百貨店が不渡り
絶望的な状況に陥るガプスの描写には
市井の人々の切なさ、やるせなさを感じて


ガプスがハンに会いにくるエピソード
国が破産する、その現実を一番感じたのは、たぶんこの時


一方で、ジョンハクのように
金融危機を逆手に取って成功をおさめる者についても興味深く描かれて


それでも20年後には
それぞれが、力強く生きている

立ち直れないのではないか、と危惧したハンのその後がやはり、私の胸に響いて

目を見開いて、世の中を見る

私は二度も負けたくない
マサ

マサの感想・評価

3.0
1997年、韓国。好景気に潜む通貨危機。お金は回っているように見えるが細い糸で辛うじてつながってるだけ。一つ切れれば…。政府にあそこまで情報統制されると国民は手の打ちようがない。IMFがあの介入をしてくるのもびっくりだ。株価が上がってる日本も実は裏では…。
韓国金融危機に乗じるIMFと背後にいるアメリカ、国民に知らせようとしない政府。
昨今の日本を取り巻く、FTAや消費税増税、プライマリーバランスを持ち出すIMF、政府やマスコミの対応に酷似。
これをエンターテインメントに仕上げる韓国映画界が羨ましい。
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