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Fukushima 50のmanamiのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
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東日本大震災、私の住む地域は震度5、その後夜半まで停電。何が起こったのかをはっきり知ることができたのは、翌朝だった。それからの物資不足や計画停電、そして何よりも、いつ終わるとも知れない余震。
さらに不安を増幅させたのは、宮城と岩手に多くの親戚が住んでいたこと。父が宮城の石巻出身で、本家は気仙沼だから。けして他人事ではなかったのだ。それでも今作で描かれていることは、私が想像してきた状況をはるかに越えている。
現場を大切にする所長が指揮をとる本部、暗闇に飲み込まれた最前線、命令と決定事項を押しつけてくるばかりの本店。立場は違えど同じ組織に属しているわけだし、皆多かれ少なかれ伊崎の幼少期〜少年期のように、原子力は夢のエネルギーだと信じ誇りを持って職務を全うしてきたのだろう。
それでも危機に瀕した際に対立は免れず、犠牲者は偏り、一致団結とはいかない。この辺りは他の企業でも日常的に、似たようなことが起きているんだろうなぁとも思う。
そしてやたらとかっこいい米軍に対し、現場の足を引っ張っているかのような日本政府。製作陣はどこか特定の方面に何か恨みでもあるのかってくらい、かなり批判的ね。ニュース速報で爆発を知る首相が印象的で、無能っぷりを強調してるんだけど、ものすごくリアリティあるなぁ。(ただ、それって報道の自由が確保されてるが故のこととも言えるから、あながち悪いことだけでもないのでは?)
「なんでこんなことになっちまったんだ。俺たちはなんか間違えたのか。」吉やんは2年後にようやく答えることができた。だけどきっと、あの経験をした私達はこれからもずっと、その問いかけを止めるべきではない。

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