しろくま

Fukushima 50のしろくまのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.8
2022.10.16/226/GYAO
〝このまま電源が復旧しなければ、いずれ原子炉の水が干上がり空焚きになる。そうなったら燃料が溶け出すのは時間の問題だ。溶けた燃料が外に出れば放射能をまき散らし…〟

東日本大震災で大津波に襲われ、電源喪失、建屋の水素爆発と想定外の事態に見舞われた東京電力福島第一原子力発電所。炉心溶融(メルトダウン)という最悪の事態を回避するために、冷却水のバルブを開けたり、内部の蒸気を抜くなど、あらゆる手立てを決死の覚悟で行っていた職員の闘いが描かれている。

放射能汚染で東日本が壊滅的状況に追い込まれるぎりぎりのところだったなんて、あの当時思いもせず、この映画を観て、その恐ろしさを知った。職員があれだけ頑張っているのに、ああしろこうしろという東電本店や総理とのやり取りが、事実だとしたらやりきれないけど、あれってデフォルメしてるんですよね。悪役のように描くことで娯楽作品としての面白みは増したのかもしれないが、我々が知りたいのはあの時何が起きていたのかということ。それぞれの立場で、あの危機的状況に立ち向かっている姿を描いてほしかったのだが…。その点、米軍の支援は心温まる素敵なエピソード。

電力不足が最近も話題になっていたが、だからと言って原発再稼働に舵を切るのも…。除染についても政府は東京電力とともにきっちり行って責任を果たさないとね。
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