ヒロオさん

ホテル・ムンバイのヒロオさんのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
3.8
2008年にムンバイ各所で実際に起こった、ムスリム過激派による同時多発テロ。
そのなかでも、タージマハル・ホテルで起こった惨劇の様子を、被害者である宿泊者や従業員たちの視点、そして加害者である実行犯の青年たちの視点で描く。

映画として脚本に無駄がなく、終始緊迫感があって引き込まれた。
まるで自分もその現場にいるような臨場感を感じたし、想像していたよりも悲惨な状況であったことに驚いた。

単に、こういうテロ事件があったことを知れただけで観る価値があった。
本作を観て、私のなかで何か感情が動いたかというと違う。
ホテルマンをはじめとして、他の人の命まで守ろうと動いた人がいた事実は理解したが、もちろん敬意や哀悼の念は感じても、その姿に感動したりはしなかった。
冷静に観ていたと思う。

よく、「宗教が原因で、戦争やテロが起こっている」という理解のされ方があるように感じるが、その理解は間違っていると私は思う。

宗教はあくまで組織や国家をまとめる手段や大義名分として使われているだけで、テロが起こる本当の原因は、経済苦や社会的差別といった、もっと現実的なことにあると認識している。

今起こっている戦争やテロの根本的な原因を辿れば、西欧帝国主義による分割統治に行き着くわけで、宗教が本質的な原因ではない。

なので、「宗教とは何なのか」とか「宗教とは善か悪か」というのは論点として適切ではないと思う。

私はただ事実として、世界ではこんなことが起こっているということだけ受け止めた。

ロシア人の渋おじカッコ良すぎ。
ヒロオさん

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