建野友保

ばるぼらの建野友保のレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
4.0
自分のお父さんはお父さんであり、男ではない。でも自分が成人し、中高年にもなり、父親が亡くなった後に遺品を整理してみると、剥き出しの男を発見することがある。
ベレー帽をかぶってにこやかに笑い、全国の子供たちの夢と希望を育んだ手塚治虫にも、当然、退廃した心根があり、煮えたぎるマグマを抱えてもいただろう。手塚眞監督が「ぱるぼら」の映画化に執念を燃やしたのも、この原作漫画に等身大の手塚治虫という男を見たからではあるまいか。
映像作品として、小言を言いたい部分はあるし、これは漫画で観てこそ価値があると思わないでもないが、手塚眞監督の衝動には強いシンパシーを感じる。
この映画を観てから、原作が読みたいと猛烈に思った。監督にとっては「してやったり」かもしれない。
建野友保

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