歩く肉

オオカミの家の歩く肉のレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
5.0
2023/8/26 ②
2022/5/4 ①
チリに実在したペドフィリアの元ナチスであるドイツ人医師が組織したコロニー「尊厳の集落」を題材にしたアニメーション映画。
童話を「狼」目線で物語ったら、どうなるのだろうか、と思いを巡らせる恐怖。
コミュニティから逃げた先で自ら小さなコミュニティを再構築しようとする絶望感。閉塞された世界しか知らない少女は、おそらく彼女にとってのユートピアは、自分の言うことを聞く存在に取り囲まれることなのだろう。

まるでワンカットで撮ったかのような滑らかさで平面的な絵やらストップモーションやら人形やら、二次元と三次元を流動的に行き来する。タイプは全く違うけど、とにかく類を見ない表現という意味では、はじめて『手を無くした少女』『マインドゲーム』や『パプリカ』を観た時と似たような驚きと感動を覚えた。

図工や作文などの創作時間に矢鱈と凝ったアプローチでオブジェや小説を作りたがっていたけれど、才能もテクニックもなくて、悉く大失敗していた子供の頃の自分に見せたい。
歩く肉

歩く肉