Kamesuke

オオカミの家のKamesukeのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.3
チリに実在したカルト共同体「コロニア・ディグニダ」のプロパガンダ映画…というテイで作られたストップモーションアニメ。

夢か現実か幻覚か。少女の歪んだ内面意識が二次元と三次元を縦横無尽に行き来し、常に変容しながら描かれる悪夢的イマジネーションの洪水に溺れそうになる。
とにかく実験映画のような得体の知れない不気味さと、グリム童話のような寓話性を帯びながら凄惨な史実背景から来るおぞましさを映画全体が醸し出しててアート表現として凄まじい情念と狂気を感じる一本。
74分なのにどっと疲れた。

コロニア・ディグニダについては偶々Netflixのドキュメンタリーシリーズを観てたこともあってより作品世界を理解する助けになって一層地獄味を味わうことが出来ました。

併映の短編『骨』然り、こういう凄まじいクリエイティビティ溢れる映画に出会うと物凄くご飯がよく進むのです。
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