このレビューはネタバレを含みます
まずは映像、何より映像。
予告編で期待させてきた通りの、圧倒的作り込みから来る狂気の映像体験はそれだけで一見の価値あり。
しかし個人的に最も評価できると感じたのは、ここまで電波な雰囲気を出していながらも、そのストーリーもしっかりテーマが一貫しているという点。(7月中旬某爺にどう生きるかと問われたから余計にそう思うのかな?)
マリアの主観視点で紡がれる物語は、彼女の精神性が徐々に崩壊していく=映像としてのグロテスク具合が増す、という形で進行していく。
これによって「コロニアディグニダによる洗脳の恐怖を伝える」というメッセージが、絵面の面白さと共にこちらに無理なく伝わってきた。
プロパガンダ映画という(体を取る)のもメタ的で面白い。
でも同時上映の「骨」があんまり絵として面白くなかったのと、主人公のマリアの心情を理解できても共感はできなかったから、その2ポイントでマイナス1点。
よって総合星4。
手放しで人にオススメしたくは無いが、でもより多くにこの作品を見てもらいたいという不思議なジレンマ。
そんな魔力が、「オオカミの家」には有りました。