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オオカミの家のryoのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
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「変化それ自体のミイラ」のバザンを思い出す。メタモルフォーゼの過程における不気味さが完成した図像のそれを上回る。こうした事態を強調するように、マテリアルは二次元と三次元を絶えず往還し、キャメラはその様子を遊撃するように撮影するのだ。いつ終わるとも知れぬ地獄という指針を全篇を通じて見るが、脚本なしの製作が仇となったか、メリハリに欠ける内容に私はこの映画の観客ではなかったと感ずる。一対一の対応関係にある比喩は比喩ではない。重苦しく〈意味〉を迫る点ではすぐれて現代映画だといえよう。
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