このレビューはネタバレを含みます
他人の影をのぞくなど一体どうすれば出来るのか。
日浅が今野を刺したあの言葉には苛立ちと、影を読もうとするならば救難信号が含まれていたというべきか。
そもそも今野に目隠しをしたのは日浅の方で「見えていない」などと口にする資格はあるのかどうか。
それでも今野は日浅に惹かれたし、今野の気持ちを知りつつ日浅は彼の元を訪ねた。
すごくきつい言い方をすれば、日浅は今野を自分のいいように利用したんだよね。
自分がなにを思うか、なにを考えているかひとつも深くは語らなかったけれど、日浅の「影に隠れなかったもの」は今野の現在に根付いて彼を照らす。
それで「光あるところに影もまたある」が映えるラスト、良かったと思います。とにかく人のすぐ隣にある自然に目を奪われる映画でした。
流れる水が大好きなので耳にも嬉しい。
東日本大震災を挟んで前後を追う物語でもあるから、余計に東北で撮られてる意味があるし、岩手の美しさとねじれる人間関係が生む明暗のギャップがあるね……。
松田龍平出演作品を見るのは御法度以来(だった。ひょえー)
綾野剛ロングショットを見ながら「裏【君の名前で僕を呼んで】だなあ……」と思った。ほぼ夏の映画だったしな。