回想シーンでご飯3杯いける

ブラインドスポッティングの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
3.5
黒人の青年コリンは1年間の保護観察期間中で、あと3日で完全な自由な身になるという段階。黒人の若者と犯罪の関係を描いた映画と言えば「ムーンライト」や、最近だと「オールデイ・アンド・ア・ナイト」等、多くの作品が存在するが、それらの中で本作は、コメディ寄りの作風と言って良いと思う。

主人公が幼馴染の友人と引っ越しの仕事をしながら過ごす日常を、「Last 3 Days」等、ポップなテロップを挟みながら子気味良く描いていく。そんな中、コリンが白人警官による黒人銃殺現場を目撃した事で、暗雲が立ち込める。

タイトルの「ブラインドスポッティング」は「盲点」という意味。例えば銃を所持していた場合、白人だと護身の為と捉えられるが、黒人だと凶器として捉えられる。肌の色の違いで、人の見え方が変わる。言い換えれば、見えなくなる部分があるという事。そんな根源的で、ある種、哲学的な問題を、時にはラップを使って表現するスタイルは、実験的かつ、僕達日本人にも分かりやすい。

実は「オバマ元大統領が2018年のベスト映画に選んだ」という話を聞いて本作を観たのだが、決して説教臭い作品ではなく、逆に言うと、大統領がこんな低予算でカジュアルな映画を観ているという事実が、とても羨ましく思えた。日本だと、、、そうはいかないな。

未見の方の期待値を変に上げ過ぎたくないので、オバマ云々を抜きにしたスコアを示しておく。