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怪猫呪いの壁のmitakosamaのレビュー・感想・評価

怪猫呪いの壁(1958年製作の映画)
3.2
大映怪猫シリーズの1作。監督三隅研次・主演勝新太郎と後の座頭市コンビだね。
シリーズものとして他作品との差別化に苦労の跡が見えそうな感じ。
タイトルにある呪いの壁のくだりは、エドガー・アラン・ポーの短編「黒猫」の引用。でも話し自体はだいぶ違う。イメージソースだけだね。

三隅も当時は若手だった筈だけど、既に演出に独自の個性を感じる。スピード感あるアクションや立ち回りは、凄い現代的。

瓦屋根をぶち破って飛び出したり、天井を逆さにガシャガシャ這って進むのとか、絵的な面白さも多いんだよ。
黒猫が飛びかかるシーンとかも、ただ縫いぐるみみたいなのを投げてるだけなんだよ。でもスピード感で誤魔化されてるし、それが味になってる。
壁から猫の絵が浮き出るシーンとかもあるんだけど、これもどう作ったのかわからないくらい上手い。
何気に特撮パートは豊富なんだな。

ただ話の完成度は従来の鍋島猫と比べると、若干荒いかな。
殺した腰元と猫をわざわさ壁に埋めるとか、何故にそんなまどろっこしい事をするのか。いやそれは言っちゃダメなのか?
また鍋島猫は、龍造寺家の飼い猫であり、飼主の恨みを代わりに晴らすという猫の恩義が動機にあるんだけど、今作の猫黒姫は、ぶっちゃけ殺された人と直接の関係はないんだよな。
まーここはしょうがないなで目をつぶっても良しとする。

小生意気な若君がいて、老中らが修験道者に呪い殺すように依頼する。この修験道者の呪いをかけるシーンとかも迫力あっていい。

まだ爽やだった頃の勝新も大活躍。色々推理して話を進めるんだけど、勘が良すぎなんだわ(笑)その上チャンバラも大活躍。かっこいい。
三隅勝新コンビの後の活躍が垣間見れるね。
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