DJあおやま

ウィーアーリトルゾンビーズのDJあおやまのレビュー・感想・評価

4.0
傑作『そうして私たちはプールに金魚を、』の長久允監督の長編デビュー作とあって、公開前から期待に胸を膨らませていた。
厭世的な少年少女たちの音楽映画に、どこかノスタルジーを感じるドット絵のビデオゲーム的な演出がふんだんにミックスされた作品。終始イマジネーションが刺激されまくりの2時間だった。

無邪気で無垢なはずの子供たちが、人生なんてクソゲーだと捻くれているのは、本来痛々しいはずだが、この映画はそう感じない。それはもはや形式化された中二病の感染前、両親を亡くすという悲劇からの純粋な気づきであるためだろうか。また、その思想に大した理屈はなく、漠然とした絶望感とそれを打ち消すための強がりが内包されている愛らしさからだろうか。なにより、主人公・“ヒカリ”のいとうせいこうの生き写しのようなルックスに、それに似つかわしくないあどけない歌声というアンバランスさがキュート。他のメンバーもぽっちゃりだったり、美少女だったりと、まるでのび太・スネ夫・ジャイアン・しずかちゃんのような絶妙なバランスも素晴らしい。

ただ、思いのほか上映時間が長く感じてしまった。少年たちがバンドを結成するまでのプロセスが中盤まで続き、そこから大きなドラマが展開されていくわけではないため、終わりどころを探してふらふらしているような印象があった。前作『そうして私たちはプールに金魚を、』のコンパクトさゆえの痛快さを味わいたかった。
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