小野田美湖

人間失格 太宰治と3人の女たちの小野田美湖のレビュー・感想・評価

4.5
ずーっと見たかったのがアマゾンプライム出てて見ました

太宰の小栗旬がおんなをずーっと「かわいい…」って言っていてそれがとても男として汚らしいもののように感じて、キモかった。下心よりももっと汚い。その女の内面じゃなくその女の見た目・顔やからだの造形の美しさしか見えていないような。利己主義な自分勝手さが見えるような。「愛している」ではなくて?
「かわいい」だけで一緒に死ねる?結局「男」ってみんなそういうもの?

原作にはおんなに対しての自らを「れいの受け身の奉仕の精神」と記してあって、それを読んだ時、悪い男って時代を超えてそうなんだと感じた…。自分も普段生活していて、コイツは危ない男だなと思う人は受け身でうまく立ち回っている気がする。このことばはこの映画の太宰のおこないをすべて言い表し切っているように思う。女の子みんながうっかり好きになってしまう、危ない男の特徴。

それに対して「わたし、愛されない妻より、ずっと恋される愛人でいたい」という静子のセリフは鳥肌が立ちます。静子の女としての強さがみえるようだった。静子は終わりまでずっと堂々としていて、3人の女の中で一番太宰を真に愛しているように見えて、わたしはいちばん好きだった。沢尻エリカが出てくると、なんとなく雰囲気がピリッとする。
壇蜜もその点同じだった。蜷川実花監督の映画だねというのが、そういうところから私は感じられました。

大好きな藤原竜也と二階堂ふみも出てきてくれて、生きた演技、あっぱれでした!

重厚な男と女の物語だった。私はとても好きだった。