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人間失格 太宰治と3人の女たちのayellowbirdのレビュー・感想・評価

3.7
小栗旬が文豪・太宰治を演じ、小説“人間失格”の誕生秘話を、太宰を取り巻く3人の女性たちとの関係とともに描いたオリジナル作品。蜷川実花監督。
1947年、人気作家として活躍していた太宰治は、身重の妻・美知子と2人の子どもがいながら、自分の支持者である静子と関係を持ち、彼女がつけていた日記を元に“斜陽”を生み出す。“斜陽”はベストセラーとなり社会現象を巻き起こすが、文壇からは内容を批判され、太宰は“本当の傑作”を追求することに。
そんなある日、夫の帰還を待つ身の美容師・富栄と知り合った太宰は、彼女との関係にも溺れていく。身体は結核に蝕まれ、酒と女に溺れる自堕落な生活を続ける太宰を、妻の美知子は忍耐強く支え、やがて彼女の言葉が太宰を“人間失格”執筆へと駆り立てていく…。

破天荒で謎に満ちた太宰治の人生を、蜷川実花がシュールに描いた作品!
太宰を取り巻く3人の女性のキャラが立っているのがとても印象的。正妻・美知子役の宮沢りえ、静子役の沢尻エリカ、富栄役の二階堂ふみ。とりわけ、気丈に夫を支え続ける宮沢りえの演技が秀逸。太宰に新作を執筆させるため、美和子が太宰に、家の事は心配しなくて良いと言って送り出すのだが、実際に太宰が出ていく際、富栄が自宅を掃除してくれたことを知り、子供たちに悟られぬよう、涙ぐむシーンは、ただただ切ない。
3人の中で共感できる女性に感情移入しながら鑑賞すると、観客一人ひとりが違った楽しみ方ができる作品だと思う。
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