このレビューはネタバレを含みます
死ぬ気で恋、する?
小栗旬の太宰治はみておきたい、と思って映画館へ。
さすが、だった。
編集者に
「人間失格」を書いてください、と言われた時の
太宰治の目
最高
あなたの子どもが欲しい発言をした直後に
奥さんが現れたときの
富栄の目
最高
すきなシーンは美知子が妹の葬儀から帰ってきた所から始まる。
椿。整頓された部屋。インク。冬の虫。
太宰が何度も振る人差し指。
「家庭を壊してください」の後のシーンだったから。
その発言に立ったまま大粒の涙をこぼした後のシーンだったから。
ものすごく良かった。
あとは、美知子への最後の言葉を読んだ後のシーンも重みのある晴れやかさというか、良かったんだよなあ。
「傑作」を語り、「自身の解剖」を共有した坂口安吾も
「人前で死ねるのか」という三島由紀夫も
良かった。
映画の終わり方を見ると、
3人の女は幸せになれたという印象をもつ。
ただ、最後の最後、水のなかで
死の直前にみたあの白い花が舞うなか
太宰治は息をふきかえす。
この、エンドロール直前のあのシーンで
初めて気づかされた。
「さて、太宰治は幸せだったのか」