みそ

人間失格 太宰治と3人の女たちのみそのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

死ぬ気で恋、する?

小栗旬の太宰治はみておきたい、と思って映画館へ。
さすが、だった。

編集者に
「人間失格」を書いてください、と言われた時の
太宰治の目
最高

あなたの子どもが欲しい発言をした直後に
奥さんが現れたときの
富栄の目
最高

すきなシーンは美知子が妹の葬儀から帰ってきた所から始まる。
椿。整頓された部屋。インク。冬の虫。
太宰が何度も振る人差し指。

「家庭を壊してください」の後のシーンだったから。
その発言に立ったまま大粒の涙をこぼした後のシーンだったから。
ものすごく良かった。

あとは、美知子への最後の言葉を読んだ後のシーンも重みのある晴れやかさというか、良かったんだよなあ。

「傑作」を語り、「自身の解剖」を共有した坂口安吾も
「人前で死ねるのか」という三島由紀夫も
良かった。

映画の終わり方を見ると、
3人の女は幸せになれたという印象をもつ。
ただ、最後の最後、水のなかで
死の直前にみたあの白い花が舞うなか
太宰治は息をふきかえす。
この、エンドロール直前のあのシーンで
初めて気づかされた。

「さて、太宰治は幸せだったのか」
みそ

みそ