来世はおしるこ

ジョジョ・ラビットの来世はおしるこのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
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戦時中のドイツが舞台、なのにすごく人気、子供が主役とは言え戦争映画なのに人気とはどういうこと?とずっと思っていた作品

20世紀フォックスのムービーがマーチングバンド風に流れて「?」となり、本編が始まるや否や音ハメ大満載で少年登場、「あ、これパッケージングされた戦争映画だ」ってそう思った
ミュージカルじゃもちろんないんだけど音でたくさん遊んでいて、視覚情報もウェスアンダーソンの色彩と分割で入ってくる
登場人物のマザータングは全員ドイツ語、なのに話すドイツ語は「ハイル」だけ、ドイツ語を読み書きしながらドイツ語訛りの英語で話す
まるでこれはおとぎ話である
大人が大人に読み聞かせるおとぎ話、だからディズニー+に入ってるのかなんて思った

本当はあんな10歳なんていなかったのかもしれないし、あんな大人もあんなたくさんはいなかったのかもしれない
でもジョジョがジョジョでいるためになんとかput it togetherしたあの盲信したナチが、恋をすることで本当らしさのある自分を見つけられたことに人は救われ、やはり戦争なんてあってはならないと頷く

多くの戦争映画は「こんなことがあったんだ、こんな悲惨で残酷なことが起きたんだ、絶対に繰り返してはならない過去だ」と思わせるハードな(そしてそれはとても当たり前なこと、やわな話では決してない)ものが多い
けど同時に映画で語られること全てが史実ではないし、そもそも我々人間は気持ちを痛めつけられないと人と手を取り合えない生き物でもない(と信じたいしそうあるべきだしそうあろうとする努力をし続けよう)
それなら、と新しい語りをしたのがこの映画なのだろうと思う、人の心を信じた作品と言える
だとしても作中でジョジョは怒るし、恐れるし、泣くのだ、戦争とはそういうもので、だからこそ踊って終われたことに観てる人は心底安堵し、この二人(ともちろんヨーキーも)が幸せに生きていきますようにと願う、と同時にそんな世の中にしていこうと固く気持ちを持つのだろう
来世はおしるこ

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