ジョジョ・ラビットのpopcornのネタバレレビュー・内容・結末

結構ギリギリのバランスのように感じられるし、ヒトラーまでチャーミングに見えてしまうポップさに違和感を覚える人もいるだろうけど、こういう作品だってあって然るべき。

戦争へある種の憧れを抱き、ユダヤ人差別も当然のものとして捉えていた(そのように仕向けられていた)ジョジョのような子どもも大勢いたのだろうし、そのような子どもの目線に立ってみれば、特段不自然だったり戦争を過度に楽観的に描いているとも思えない。
サム・ロックウェル演じるキャプテンKだってナチス将校ではあるけれど、ドイツの敗戦濃厚な現状を子ども達にも伝えていて必ずしもヒトラー礼賛の人物ではないし、彼自身もゲイというマイノリティとして描写されており、理由なく迫害される立場にあるエルサを密告しなかったのだって十分理解できる。
作品全体を通して、反戦や反差別のメッセージはむしろストレートに伝わってくる。

戦争の悲劇や人種憎悪の陰惨さを真正面から見据える作品は必要だけど、そういうのばかりでは息が詰まってしまうし、フィクション固有の役割は本作のような作品にこそあるようにも思う。

やっぱりサーチライトは信用できる。