なちゅん

ジョジョ・ラビットのなちゅんのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
タイカ・ワイティティ、天才かよ。
Thor: Ragnarokで彼を知って、あの色使いや演出、そして彼自身のファニーさをすごく良いなと思った。今作も期待しながら観たのだけど、予想の遥か斜め上をいく作品だった。ファニーで可愛くて、格好良くて、おまけに信じられないくらい泣ける。満員の映画館でポロポロ涙を流しながらぐずぐずしてしまった。

ファニーだけど、それは決してナチス・ドイツを正当化するものではないし、過去を揶揄するものではないし、ましてやユダヤ人を侮蔑するものでもない。あの時代を舞台として、兵士でもユダヤ人でもない、「ナチに傾倒したごく普通の10歳の少年」を主人公に据え、彼の視点であの頃の世界を見るというのは今までにほとんど誰も試してこなかったこと。この史実は当事者じゃない限りある種タブーとされてる部分もあるし。でもそこにあえて挑んで、これだけ心に響くものを撮ったことがもう賞賛を得るに足るでしょ…。「ナチスだけじゃなく、戦争がいかに何も生まないか。いかに馬鹿げているか。」少年ジョジョの精神的な成長(しかも劇的に強いられた、痛みのある成長)を描くと同時に、ユーモアを並べた中に、そのメッセージが、考えるためのクルーが、感じるための鍵が忍ばせてある。

もちろんタイカ・ワイティティ自身の演技もいいのだけど、いや、やっぱり監督として天才じゃないかと思う。Oscarにもノミネートされてるけど本当に獲って欲しい。いや、獲るでしょ。
象徴的なアングルがあるのだけど、その使い方がまあ、もう、本当にうまく繋げられていて、さりげないエピソードさえもとんでもなく美しく、愛(かな)しくしている。
スカーレット・ヨハンソンの衣装も1シーンごとに可愛くておしゃれで、強くて優しくて格好いいママの全てが表れていて、文字通りスクリーンの花だった。
ジョジョもエルサもとびきり可愛いし、キャプテン・Kとフィンケルも素敵だったし(この2人本当に…言葉にならない。)、ラーム女史を演じたレベル・ウィルソンはいつも通り文句なしにクール。

にしても、Ragnarokの時も思ったけど、タイカの音楽の使い方がいちいち格好良い。
うん、とりあえず踊ればいいんじゃない?
なちゅん

なちゅん