ウサギはね、
勇敢で、ずる賢くて、思う以上に強い生き物なんだよ。
”ウサギ”を侮ったらどうなるか、、
みんなに思い知らせてやろう！！
”戦争映画”という括りの中でも
とてもオモシロイ切り口ですし
素直にいい映画だと思えた、そんな作品です。
総統アドルフとそのナチズムに魅せられた10歳の少年ジョジョの視点を通して
歴史的悲劇と向き合いながら、
ナチスの手を逃れて
家の屋根裏=隠し部屋に匿われているユダヤ人の少女エルサとの出会いをきっかけに
ジョジョの行動や考え方の変化、そして心の機微などが
丹念に描かれている本作です。
迫害政策による差別、偏見、ジェノサイドなど
カルト思想の影響力と脅威がひしひしと伝わる場面もあり、そして
なによりもそうしたファシズムが過激さを増す中で
判断力が鈍り思い込みや危険な思想を
簡単に受け入れてしまいがちな人間の危うさというか、
脆さと言いましょうか、
本来しっかりとコントロールすべき弱点を突きつけられる点は
すごく考えさせられるものがありました。
特に、本編終盤では
ソ連軍によるベルリン侵略のくだりがあって
その最中なんかあれだけユダヤ人、ユダヤ人だったのが
もはやロシア人にすり替わり
言いたい放題に言ってるあたりなんかは
より顕著に出てましたね。
空想上のお友達である”アドルフ”とジョジョとの
微笑ましいやり取りもこちらはこちらでいいですけど、
要は人様から押し付けられた思想に
盲目的に従うのではなく、
起きている事実を客観的に捉えて
自身で考えてから行動しましょうね、
ってことなんだと思います。
小さい身体ではありますが
10歳のジョジョがまさに体を張って
示すその姿勢から
学べることことは少なくないはず…
監督、それからジョジョの空想上のお友達アドルフ役での出演もしている
タイカ・ワイティティの実力はすばらしいですね。
ジョジョの母役ロージーで出演したスカヨハや
ナチ将兵のキャプテン・K役で出演したオスカー俳優のサム・ロックウェルらが
絶賛しているのも腑に落ちます。
ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスやエルサ役のトーマシン・マッケンジーの存在感も良かったので
今後の活躍にも期待したいところです。
時代は現代ではありませんが
それでもカラフルな色彩がポップ感を与えて
古臭さを感じさせず難なく現代ものの作品として捉えられるあたりも
良い手法だと思いますし、
個人的にはデヴィッド・ボウイやビートルズらの楽曲が
挿入されていたあたりがグッときたポイントでもありました、笑
観終わったあとに残る余韻も良いですし
尺も程よいので
まだ未見の方にはオススメしたい一本ですね。
