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ジョジョ・ラビットのsomaddesignのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
5.0
不謹慎味「ライフ・イズ・ビューティフル」

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ほとんどノーマークだったけど、口コミ評価の高さとアカデミー賞作品賞ノミネートのタイミングで鑑賞。

「マイティ・ソー/バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督の作品なのね。あまつさえ自分自身で主人公のイマジナリー・フレンドを楽しそうに演じてて微笑ましい。


のっけからビートルズの「I want to hold your hand」のドイツ語版でノリノリ! 誰かのカバーかと思ってたら、当時ドイツのファン向けにドイツ語で収録したのがあったのね🤩(でも以降全部英語で喋ってるんだから、ドイツ語verの意味あったか謎)
ポップさといいサマーキャンプの風景がウェス・アンダーソンの「ムーンライズキングダム」を連想させる。無邪気にナチズムに憧れるちゃう少年の幼さだったり、後の淡い恋の暗示なってたような。
訓練の場面ではトム・ウェイツの「I don’t wanna grow up」が印象的で「大人になんかなりたくない。でもみんななっていくのさ、望んでもないものに。今日を生き抜くためには仕方がない」って歌詞が時代を超えて普遍的に刺さる。住む国や時代に関わらず、大勢の意見に流されて気がつけば望んでない者になっている。巧みな洗脳より時代の空気に巻かれる方が逃げ場がない分恐ろしい。


子供の目を通した戦争映画は数あれど、誰かに教わるわけじゃなく、無邪気に信じ憧れてたモノに自分の体験を通じて疑いを持ち、自分なりの価値観・信条を獲得してく姿が尊い。あとシンプルに可愛い。

いよいよ円熟期を迎えつつあるスカヨハ様。
葛藤を抱えながらも強く美しい母親像が素晴らしかった。素晴らしすぎて現実と乖離した理想の母親像っぽくて有り無し迷う。

サム・ロックウェルのクレンツェンドルフ大尉がサイコーすぎた。隠れゲイ役が続いてて(というより空虚なマチズモに嫌気がさして、児戯に等しいナチの暴虐に諦観してしまってる感じ?)、今作でも自分らしく生きられない苦しさや悲しさが臭い立つ佇まい。
本人も認めてる通り、若き日のビル・マーレイの演技そっくり。無気力かつ昼行灯。でもその目はずっと本質を射抜いているような。
ここぞ!の場面で何度も全部持ってくカッコよさズルい!惚れてまう!


ネタがネタだけに、眉をひそめる人がいるのも当然で、反ヘイト・親ピースなメッセージとはいえ「言い方!😡」と怒る人がいるのも分かる。靴や靴紐の演出がこれみよがしというか、「はいココ後で効いてくるヤツですよ。分からん人ほっときますよ©️テント師匠」てな具合で無粋に思えてしまった。

結末がとってつけたようというか、ヒトラーが蹴り出されるのは序盤から予想つきすぎて、カタルシスに欠けるのが惜しかった。ダンスシーンのデビット・ボウイは最高🤪

11本目
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