ソラアユム

ジョジョ・ラビットのソラアユムのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.6
空想と現実


ヒトラーを敬愛する心優しき少年とユダヤ人女性の交流を描くドラマ作品

ワイティティ節炸裂のブラックユーモアたっぷりの秀作戦争映画。

前半はコメディ、後半はシリアス重視。
想像上の友達ヒトラーとの楽しい会話が、戦争が佳境に向かうに連れ恐怖へと変わっていく様と、ジョジョが事態の本質を理解していく過程が並行して巧く描かれていたと思う。

コメディドラマからシリアス展開へと変わるターニングポイントはかなりの衝撃を受けた。まさかこの人が?という驚き。非常に軽快で明るい前半部から戦争の悲惨さまでしっかりと描いているグッドバランスな作品。

出演俳優も光っており、スカヨハ、サム・ロックウェル、レベル・ウィルソンが特に良かった。まさかレベル・ウィルソンの行動で戦慄が走る瞬間が来るとは…

そしてラストのカタルシス。
解っちゃいたけど、それは無条件で感動しちゃうよ。あの2人はどうか幸せになって欲しいと願わざるを得ない。

『マイティソー バトルロイヤル』以降、注目していたタイカ・ワイティティ監督だがその手腕は相当のものだと今作で確信。自身の素質を活かして見事な戦争映画を作り上げたと思う。次回作の『ソー ラブ&サンダー』もかなり期待しております。