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ジョジョ・ラビットのcorsbyのネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

誰かを想う

映画を見終わった後、主人公たちのこれからや、ジョジョを庇って死んだ人、そしてしばらく会っていない自分の母を想い出して、崩れるように泣いた。
生きるということ、地面を踏み締めて歩くということ、好きな曲を聴くこと、喋ること、踊ること、着たい服を着ること、書きたいものを書くこと。自分の意思で行うことの全てに尊さを感じる。
“生きよう”、例えどれほど希望が薄くとも、自分という存在がちっぽけな存在に思えても。少なくとも、こんな映画に出会える機会があるのであれば。
最後に映されるリルケの詩に、そう思わされた。

ジョジョを囲む人々が、主人公を中心に時に面白く、時に真摯に描かれている。母も、エルサも、大尉も、そしてジョジョの中のヒトラーも、誰もが強い。その中で懸命に生きるジョジョは、周囲から少しずつ生きるということを学んでいくように見える。
人を殺す政策で名を挙げたヒトラーへのまさしく反逆的であるその成長はやはり険しい道のりで、その中で彼は多くのものを喪う。しかしジョジョが学ぶことこそが、今作のキャッチコピーを借りるのであれば、母らからの“愛”なのだと思う。

戦火を見つめるカットが印象深い。遠くから見つめるそれは対岸のもので、絵画的にすら見えるが、実際に巻き込まれた戦場は地獄という他ない。そのギャップの描き方もとても良い。
その他、街並みや服飾もとても好み。
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