きゅうげん

ブライトバーン/恐怖の拡散者のきゅうげんのレビュー・感想・評価

3.4
「もしスーパーマンが悪者だったら?」という、全世界の中学生をワクワクさせる小品ホラーを、天下のジェームズ・ガンがプロデュース。

アイデア勝負な映画だからストーリー内容は想像できるものですが、本作を彩るのはやっぱりガン組のお約束、こちらの神経を洗ってない手でむずと掴むようなダーティさ。口角の引きつるギャグに肉々しいゴア描写は、目を覆いつつも画面に釘づけ。
ミッド・クレジットのフッテージでは、これでもかとDCキャラクターを揶揄。ポッドキャスト番組のホストがマイケル・ルーカーというのもシニカルなところ。そういえば理科の先生や父親の飲み仲間は『ザ・スーサイド・スクワッド』のオペレーターでしたね。ピースメイカーのドラマにも再登板するらしいので、やはりガン組なのでしょう。

ただ、個人的にはブランドン君の邪悪さが彼自身の、ひいては宇宙人としてのパーソナリティに押し込められてしまっていたのは残念です。
どうしようもない"ホワイト・トラッシュ"的環境で、いびつに成長してしまったスーパーパワーの持ち主の狂気と悲哀みたいなモノを描いているのかと思っていましたが、彼の両親や好意をよせてた女の子など、視聴者の寄り添う視点がダブルバインドになりがちなのが難点でした。いじめっ子に一泡吹かせる展開みたいなのがないと、ただのモンスターと変わらないですからね。……まぁ、ないものねだりですが。

とにかくも、センセーショナルな表現演出、ホラーのツボを押さえたみせ方、「What If...?」を臆面もなく世に出す図太さそのものなどには脱帽しました。