とぅん

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞を制したオタク監督、ギレルモ・デル・トロによる念願の企画であり、執念のストップモーションアニメ。

これを作る労力を考えると気が遠くなるし、個人的には、今まで観たデル・トロ監督作ではぶっちぎりの最高傑作。

クラシックであるピノキオを、デルトロフィルターを通してダークな味付けにしてるのだけど、ミュージカルシーンや戦争というテーマを挟みながら、暗すぎない絶妙なバランスで仕上げてるのがかなり好感。

ゼペットじいさんは戦争で息子を失い、失意の中で木彫りの人形を作るのだけど、そこに妖精が命を吹き込み、ピノッキオが生まれたことで始まる話。

亡くなった息子が聞き分けの良い子どもだったのに対し、ピノッキオは自由奔放でゼペットを困らせたりして、息子の影を求めるゼペットの葛藤があったり。

ムッソリーニ支配下のイタリアが舞台で、動く木製人形を最強の兵士としたい軍の動きがあれば、ピノッキオを客寄せとして見せ物小屋のスターにしたいヴォルペ伯爵というこれぞ悪役みたいなキャラも出てくる。

でも、最終的にはピノッキオをゼペットの親子愛の話であって、ピノッキオが死なないことで家族よりも生きていくというところまでラストで描いていたのが秀逸だと思った。

私は吹き替えで観たのだけど、実力派の声優陣の中で、ピノッキオ役の野地祐翔がめちゃくちゃ輝いていて、末恐ろしい才能だと感じた。
英語版キャストもめちゃくちゃ豪華なので、字幕でもまた観てみたいな。
とぅん

とぅん