とぅん

アンダーカレントのとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

アンダーカレント(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

親しい間柄でも、本当にその人のことを知っているのか。

夫が何の書き置きとかもなく失踪して、ようやく経営する銭湯の営業を始めた主人公。
彼女の元に何も過去のわからないボイラー技師の資格を持つ堀が訪ねてきて同居生活が始まったり、昔の知人に紹介された探偵に夫のことを調査させたり、彼女の生活にまたさざなみが立ち始める。

失踪した夫のほとんどが嘘で塗り固められていたというのは衝撃なんだけども、そこに主人公自身が押し込めていた辛い過去や突然現れた堀の正体など、次第に見えてくる各々の事実の出し方は波紋のような感覚だった。

今作は今まで観た今泉監督作品の中でも重たい部類に入ると思うのだけど、ゆったりした時間を流す担当だった康すおん演じるたばこ屋のオヤジのシーンはどれも良かったな。
特に堀と将棋を指してて、「角が効いてますよ」「二歩です」の流れは絶品。

堀が自分の事を話そうとする場面で切れて、犬の散歩をする主人公の後ろをゆっくりついて行く堀の姿を映したラストは余韻たっぷり。
ちゃんと向き合って話した結果、上手くいったのかなっていう風に私はプラスで受け取った。

「人をわかるってどういうことですか?」
リリー・フランキーが劇中で放ったこのパンチラインがいつまでもこだまする。
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