マインド亀

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのマインド亀のレビュー・感想・評価

5.0
●ディズニープラスにてアニメのピノキオ(1940)、ロバート・ゼメキスのピノキオ(2022)を鑑賞後、デル・トロ大先生のピノッキオを鑑賞しました。「手掘りの映画、その裏側」も同じく鑑賞。

●ロバート・ゼメキスのピノキオが、あくまでもディズニーアニメの立体化&チューニングというクリエイティビティ無味無臭作品だったのに対し、本作はどこからどう食べてもデル・トロの味しかしない濃い味料理でございました。

●ファシズムに対する強烈な風刺、異世界の扉を守る畏敬の存在など、パンズ・ラビリンス風味バッチリですし、ゼペット爺さんのマッドサイエンティストぶりやピノッキオ誕生の際のホラー演出などは悪趣味過ぎて幼稚園児には見せられません。下手したらゼペットじいさんは映画冒頭で包丁にさされまくって死んでたかもしれません。殺人カートゥーン風アクションで見ててハラハラしました。

●ディズニーのピノキオは、色々な人に色々なことを教えてもらい成長する物語でしたが、本作のピノッキオは色々な人に愛を与え、幸せを与え、勇気を与える存在でした。

●印象的なのは少年兵として兵舎で隣のベッドになる幼馴染です。ピノキオと彼は、父親との関係性に悩み、父からの愛を渇望しています。ですが、ピノッキオは「良心」であるセバスチャンの言葉を彼に教えます。「父親は誰でも息子を愛してるよ。でも父親も絶望することがある。そして一時の感情でいろいろ言ってしまう」。ここで幼馴染の彼と、私が号泣ですよ。一応これでも思春期の息子を持つ父親の端くれですよ。ついつい怒ってしまうこともあるんです。ピノッキオ、セバスチャン、すまん、本当にすまん、まさにそういう父親なんです私!息子よ!わかってくれとは言わない!気をつけるよ!
何度このセリフを反芻したことか…

●とにかくはじめにはダークで薄気味悪さすら感じますが、終わりにはどのキャラクターも好きで好きでたまらなくなる本作。何回見てもどの小道具にも味があり、こだわりがあり、この世界でキャラクターが生きているとさえ思えるような最高の作品でした。見習えよロバゼメ!ゼペット爺さんの作った時計にディズニーキャラクター混ぜてんじゃねえよ!ディズニーのおもちゃ作ってる人かよ!
それと、Netflixではメイキングご見られます。コマドリ撮影が見られますので絶対合わせて観てください。デル・トロの世界観にやられた人たちがチームを作り、デル・トロは本当に幸せな方向にチームを導いています。本当に最高な作品をありがとう!
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