みどり

行き止まりの世界に生まれてのみどりのレビュー・感想・評価

4.1
2020/11/2
メトロ劇場


イリノイ州ロックフォード
かつては栄えていた地方ですが
鉄鋼や石炭などの産業が衰退し、
アメリカの繁栄から取り残された場所にあるという
今ではラストベルト(さびついた工業地帯)
などと呼ばれている
ここで暮らす3人の12年間


スケボーがあれば生きていける

私はこれがあったら抜け出せる、生きていけるってもの、何かあるだろうか

だとしても
辛さを忘れることができるのは
何かに夢中なその時だけで
きっと、ふと時間が空いたら
思い出してしまうのだろうなあ


果てしない道
スケートボードを滑らせている彼らを見ていると
どこまででも行けそうなのに
閉塞されているこの街
彼らの人生はとっても狭くて苦しい


父とうまくいかず、息苦しさを感じて家を飛び出す
自分の家族を作ろうとするが
自分が思い描いている家族にはならない
妻であるニナに暴力を振るってしまうザック

父に虐待を受けていたキアーは
それが当たり前のように、諦めていたが
耐えきれず大喧嘩の末に吐き捨てた
「大嫌い」
という言葉


分かってはいても
同じようなことを繰り返してしまうことが
ある意味人間らしくて
生まれ育った環境も相まって
ずっしりと重くのしかかって


mid90sとこの作品がセットで見れる劇場に感謝…。
スケートボードは単なる手段ではなくて
そこで出会う人たちが仲間で
それ以上に家族のような存在だったのも印象的だった



この映画は同じような経験をした人、また少しでも共感できる人たちにとってセラピーのようなもので、暖かいハグのような作品になれたら…
お手本になるような大人を探すよりも自分と同じように葛藤している人に光を当てたかったと話す監督。

監督自身が自分の母親にインタビューするところは自然と涙が溢れた


私はここまでの家族関係ではないですが、やっぱり思うところはあるので、どうにも家族の話はぐっとくるところがあって…
どうにかしたくても
自分の力ではどうにもならないこと
たくさんあるから

それでも彼らの笑顔を見ていたら
未来は変えられる気がする

スケボーは頭にくるけど1日だって嫌いじゃいられない。親父と一緒。

そんなふうに言える彼を見たらまた泣いてしまった
みどり

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