けんくり

行き止まりの世界に生まれてのけんくりのレビュー・感想・評価

4.5
若者3人の視点を通して、ある世界の現実とその問題の根本にまで迫っている傑作。

まさに人生の「行き止まり」みたいに閉塞感に溢れた街で、それぞれ問題を抱え、燻らざるを得ない若者たち。

「だったら抜け出せばいいじゃん」なんて簡単な答えがあるようにも思えるけれど、その選択肢を取れない、その決断の自由がない。そうした環境が出来上がってしまっていることが問題なんだと。

そういうバックグラウンドがあるからこそ、こういったラストベルトの人たちは、他者を排斥する方向に思考が向きやすいのかなとも。

キャストと監督が幼馴染み同士ということで、並のドキュメンタリーとは「当事者意識」が比べものにならないし、こうしたエンディングを採用した理由もよく伝わる。

映画は終わっても彼らの人生は続いているわけで、少しでも今よりはマシな方向に向かっていたらいいな。。